1. エネルギー計測の目的:スペクトルで「核種」を当てる
エネルギーを測る最大の目的は、「そこにどんな核種(犯人)がいるか」を突き止めること(核種同定)。放射線が持つエネルギーの分布をグラフ化した「スペクトル」から核種を突き止める!
2. 道具の画質:エネルギー分解能
スペクトルをどれだけ鮮明に、細かく見分けられるかを示す能力。
- 半値幅(FWHM):ピークの高さの半分(50%)の位置における「幅」のこと。この幅が狭いほど、高性能な測定器。
- 最強の測定器「Ge半導体検出器」: $\text{NaI(Tl)}$ シンチレーション検出器に比べて圧倒的にエネルギー分解能が高く、γ線のスペクトル測定に必須。ただし、使用時は液体窒素などでの冷却が必要。
3. γ線のスペクトルの「山」の読み解き方
γ線を測ると、検出器内で起きる相互作用(光電効果やコンプトン散乱など)によって、特徴的な「山(ピーク)」が現れる。
- 光電ピーク(全エネルギー吸収ピーク):光電効果によってエネルギーがすべて吸収されたときに現れる最も重要な山。
- コンプトン端(Compton Edge):コンプトン散乱で電子に与えられるエネルギーの最大値の場所。これより高エネルギー側は崖のように落ち込む。
- サムピーク(和ピーク):2つの放射線が「同時に」検出器に入ったとき、その合計エネルギーの場所に現れる山。
- 消滅放射線ピーク(511 keV):電子対生成などが起きた際に発生する特有のピーク
- エスケープピーク:エネルギーが 1.022 MeV を超えると、電子対生成によって生じた 511 keV の光が1個(シングル)または2個(ダブル)外に逃げてしまい、その分エネルギーが差し引かれた場所に山ができる。
$^{60}\text{Co}$ の場合、1.17 MeV と 1.33 MeV の合計である 2.50 MeV付近 にサムピークが現れる!
4. 計算問題の急所:エネルギー校正(エネルギー翻訳)
測定器が勝手に決めた「部屋番号(チャネル番号)」を、人間がわかる「エネルギー(keV)」に翻訳する作業。
考え方: 「部屋番号が1つ増えるごとに、エネルギーは何keV増えるか?」を割り出すだけ!
- 例:
- 900番の部屋(ch)が 500 keV
- 1900番の部屋(ch)が 1000 keV だったとする。
- 差を計算: 部屋番号が 1000 増える間に、エネルギーは 500 keV 増えている。
- 1部屋あたりを出す: 500 keV ÷ 1000 ch = 0.5 keV / ch(1部屋あたり 0.5 keV)。
- 答えを出す: 1300番の部屋なら、900番から 400部屋 進んでいるので、
- 500 keV + (0.5 keV × 400部屋) = 700 keV とわかる!