吸収線量 (D):物質が受けた「実損害」の量
吸収線量は、放射線の種類を問わず、放射線が物質(水、組織、空気など)に与えたエネルギー量を指す。
- 定義:単位質量 ($dm$) の物質に放射線が付与した平均エネルギー ($d\bar{\epsilon}$) 。
- 単位: $\text{Gy}$ (グレイ) = $\text{J/kg}$
臨床での測り方:標準計測法12
吸収線量を求める:計算式の「意味」を解こう 📋
電離箱で測った数値(表示値 $M$)を、水の吸収線量 ($D_w$) にする式は以下の通り。
$$D_{w,Q} = M_Q \cdot (k_{tp} \cdot k_s \cdot k_{pol}) \cdot N_{D,w} \cdot k_Q$$
3段階のステップで変換している!
- ステップ①:表示値を「正しく」する(3大補正)
電離箱が出した生データ($M$)に、その場の空気密度や電気的なロスを補正する係数をかける。
- $k_{tp}$:温度気圧補正。空気の重さ(密度)を整える。
- $k_s$:イオン再結合補正。くっついて消えたイオン対を復活させる。
- $k_{pol}$:極性効果補正。プラス・マイナスの偏りをならす。
- ステップ②:「基準の線量」に変換する($N_{D,w}$)
コバルト60は放射性同位体であり、常に一定のエネルギー(約 $1.25\,\text{MeV}$)のガンマ線を出す。エネルギーが世界中で共通していて安定しているため、「長さの1メートル定規」のような「線量のものさし」として最適!
- ステップ③:「いまの放射線」に合わせる($k_Q$)
- 線質変換係数 ($k_Q$):病院で使うX線は、基準のコバルト60とはエネルギー(質)が違う。その違いを調整するための係数。