炎症とは、物理的刺激、化学的物質、細菌感染などの有害な刺激(侵襲)を受けた際、生体がその原因を除去し、損傷した組織を修復しようとする一連の防御反応である。
🔥 炎症の5大徴候(ケルスの5徴)
炎症局所で見られる特徴的な5つの臨床症状を「ケルスの5徴」と呼ぶ。
- 発赤(ほっせき):血管拡張による局所の血流増加。
- 腫脹(しゅちょう):血管透過性の亢進による液体成分の滲出。
- 熱感(ねっかん):血流増加および代謝の亢進。
- 疼痛(とうつう):物理的圧迫や化学的物質(ブラジキニン等)による神経刺激。
- 機能障害:疼痛や腫脹に伴う運動制限や組織破壊。
⏱️ 炎症のメカニズム(急性期と慢性期)
炎症は、経過時間によって「急性」と「慢性」の2つのフェーズに分けられる。
- 急性炎症(数日〜数週間)
- 初期反応:血管が広がり、血液成分が漏れ出す「滲出(しんしゅつ)」が起きる。
- 主役細胞:好中球(白血球の一種)が真っ先に現場に駆けつけ、細菌を食べる。
- 慢性炎症(数ヶ月〜数年)
- 組織の変化:組織が壊れたり、線維が増えたりする。長く続くと「線維化」や「瘢痕形成」が起こる。
- 主役細胞:リンパ球、マクロファージ、形質細胞が中心となる。
🦠 炎症の形態的分類
炎症の状態や滲出物の種類によって以下のように分類される。
- 漿液性(しょうえきせい)炎症:血清成分に近い漿液の滲出を主とする(例:火傷の水疱)。
- 線維素性(せんいそせい)炎症:フィブリンの析出を主とする。膜状の構造(偽膜)を作ることがある(例:偽膜性大腸炎、肺炎)。
- 化膿性(かのうせい)炎症:多数の好中球を含む「膿」を形成する。
- 特異性(肉芽腫性)炎症:特徴的な結節(肉芽腫)を形成する。結核、梅毒、サルコイドーシスなどが代表例である。