全身の組織へ酸素を届けた後の血液が、再び心臓へと戻るための「帰り道」が静脈(Vein)。動脈に比べてゆっくりだが、血液の約7割を保持する貯蔵庫としての役割や、重力に逆らって還流させるための特殊な仕組みを備えている。
💧 静脈の基本構造と性質
- 三層構造:内膜・中膜・外膜の3層からなるが、動脈に比べて中膜が薄い。
- 貯蔵機能:血管壁の伸展性が高く、全血液量の約70%を蓄える。
- 逆流防止弁(静脈弁):重力による逆流を防ぐための弁。特に四肢(手足)の静脈に多く存在する。
- 還流の補助:
- 筋ポンプ作用:周囲の骨格筋の収縮により、血液を心臓方向へ押し上げる。
- 呼吸ポンプ作用:呼吸に伴う胸腔内圧の変化により、血液を吸い上げる。
動脈血・静脈血の例外
- 動脈血(酸素豊富)が流れる静脈:肺静脈、臍静脈(胎生期)。
- 静脈血(二酸化炭素豊富)が流れる動脈:肺動脈、臍動脈(胎生期)。
🛣️ 主要な静脈系と特殊な走行
- 大静脈への還流
全身の静脈は最終的に2本の大静脈に集まり、右心房へ戻る。- 上大静脈(SVC):頭部、上肢、胸部の血液を集める。
- 下大静脈(IVC):下肢、腹部、骨盤の血液を集める人体最大の静脈。腹部大動脈の右側を走行する。
- 門脈系(Portal system)
胃、腸、脾臓、膵臓などの消化器からの血液を、一度肝臓へと運ぶ特殊なルート。吸収した栄養分の処理や解毒を行うための専用通路として機能する。
- 奇静脈(Azygos vein):脊柱の右前方(後縦隔)を走り、上大静脈に合流するバイパス。