🏭 肝臓の解剖学と生理機能
- かたちと区分:肝臓は右上腹部の大部分を占める、重量約1.2〜1.5kgの人体最大の腺臓器
- 外科的区分(カントリー線):下大静脈と胆嚢窩(胆嚢の下)を結ぶ線で左右に分ける。中肝静脈にほぼ併走!
- クイノーの区域分類:門脈の分枝に従って、肝臓をS1〜S8の8区域に分ける。
- 肝門(かんもん):肝臓の入り口で、固有肝動脈、門脈、肝管の3つがセット(肝三つ組)で出入り。
- クッパー(Kupffer)細胞:肝臓内に存在するマクロファージ。異物を貪食する役割を持ち、超音波造影剤(ソナゾイド等)を取り込む性質が画像検査で重要となる
- 代謝・貯蔵:糖質を「グリコーゲン」として貯蔵する
- 蛋白合成:血液凝固因子(プロトロンビンなど)やアルブミンを合成する
- 解毒:アルコールや有害なアンモニアを無害な尿素に変える
- 胆汁産生:脂肪の消化を助ける胆汁を1日に約600〜1,200mL作る
🩸 血管の「二重支配」
肝臓には、役割の異なる2種類の血管(動脈・門脈)が入り込んでいる。このため、一方が詰まっても梗塞が起こりにくいのが大きな特徴。
- 門脈(機能血管):血流量の約70〜80%を占める。胃や腸などの消化管で吸収した栄養を肝臓へ運ぶ。
- 固有肝動脈(栄養血管):血流量の約20〜30%。肝細胞自身が生きるための酸素を運ぶ。
※肝臓からの「出口」は肝静脈一つであり、血流は下大静脈へと抜けていく。
🟢 胆道系(胆管・胆嚢)の構造
- 胆嚢の役割:胆汁を一時的に貯めて、水分を吸収して濃縮する
- 収縮のスイッチ:食べ物(特に脂肪)が十二指腸に入ると、ホルモンの働きで胆嚢が収縮し胆汁が排出される
※そのため、胆嚢の画像検査(エコーなど)は、胆嚢を十分に膨らませておくために絶食状態で行うのが基本
⚠️ 主要な疾患
- 肝硬変:慢性肝炎から進行し、肝臓が硬くなる病態。日本ではC型肝炎ウイルスに起因するものが歴史的に最多!
- 食道静脈瘤:肝硬変により肝臓内の血流が滞ると、門脈の圧力が上昇する(門脈圧亢進症)。その逃げ道として食道の静脈が膨らんだもので、破裂すると大出血を起こす危険な合併症!
- 肝細胞がん(HCC):日本における肝細胞がんの多くは、肝硬変を背景(母地)として発生する。特異的な腫瘍マーカーはAFPやPIVKA-II
- 胆石症(総胆管結石):胆嚢や胆管に石ができる病態。急性膵炎の二大原因の一つにもなる。結石によって胆管が詰まることもある。