💡 ろ過の目的と線質の変化
X線管から出る制動X線(連続スペクトル)には、低エネルギーの軟X線が多く含まれる。この軟X線は画像にはほとんど役立たず、皮膚被ばくばかり増える!
そこで、放射口付近のろ過材(フィルタ)で軟X線を吸収・除去する。この操作をろ過(フィルタリング)という。
- 軟X線が減る
- 実効エネルギーが高くなる
- 皮膚被ばくが減る
- 線質が硬くなる(線質硬化)
- 半価層(HVL)が大きくなる
フィルタは低エネルギーの軟X線だけを取り除くため、残るX線はエネルギーの高いものが中心になる。
その現象を線質が硬くなる(線質硬化)と表現する。
そのため、半価層(HVL)は大きくなる。
🔩 「固有ろ過」と「付加ろ過」
- 固有ろ過: X線管容器の構造上、取り外すことができない部品によるろ過。
- 構成要素: X線管のガラス管壁、絶縁油、管容器の放射口窓(ガラス、アルミニウム等)。
- 付加ろ過: 撮影目的に応じて放射口の外側に着脱・追加する外部フィルタ。
- 主要材質: アルミニウム( $\text{Al}$ )、銅( $\text{Cu}$ )等の金属板。
- 総ろ過: 固有ろ過と付加ろ過の総和。
- 公式:
$$ \text{総ろ過} = \text{固有ろ過} + \text{付加ろ過} $$ - 基準: 一般撮影用X線装置(定格管電圧 $70 \, \text{kV}$ 超)では、総ろ過 $2.5 \, \text{mmAl}$ 以上がJIS規格で要求。
- 公式:
🎨 ろ過材の材質と臨床選択
撮影目的(管電圧・被写体の種類)に応じてろ過材の材質を選択することで、最適な線質のX線を得ることが可能!
- アルミニウム( $\text{Al}$ ): 最も一般的なろ過材。中・低電圧領域の一般撮影で使用。
- 銅( $\text{Cu}$ ): アルミニウムと組み合わせて使用(複合フィルタ)。高電圧撮影(胸部など)において、硬質な線質を得るために選択。
- ベリリウム( $\text{Be}$ ): 窓材として使用。X線吸収極小の金属であり、乳房撮影(マンモグラフィ)などの低電圧領域において固有ろ過を極限まで下げるために採用。
- モリブデン( $\text{Mo}$ )・ロジウム( $\text{Rh}$ ): 乳房撮影用の付加ろ過材。ターゲット材質と組み合わせ、コントラスト向上に最適な特性X線付近のエネルギーを選択的に透過させるためのフィルタ。
📉 ろ過の増加が画質・線量に与える影響
- X線量の減少: フィルタで一部のX線が吸収されるため、受像器に届くX線量は減少。
- 半価層の増加: 実効エネルギーが高くなり、物質を透過しやすくなるため、半価層($HVL$)は大きくなる。
- 被写体コントラストの低下: X線が物質を透過しやすくなることで、組織ごとの吸収差が小さくなり、画像のコントラストは低下
線質が硬くなるほど、どの組織もX線を通しやすくなるため、組織同士の吸収差(濃淡の差)が小さくなり、被写体コントラストは低下。
被ばく低減と画質はトレードオフ