絶対測定と相対測定:測り方の「格」の違い
放射能を測る方法は、「ゼロから理屈で導く(絶対)」か、「お手本と見比べる(相対)」かの2つ。
- 絶対測定(Absolute Measurement):お手本(標準線源)を使わず、理屈で Bq を直接叩き出す方法。いわば「世界標準」を作るための格が高い測定。
- 相対測定(Relative Measurement):すでに強さがわかっている「標準線源」と、測りたい試料を見比べる方法。現場のドーズキャリブレータなどはすべてこれ。
臨床で使われる装置:ウェル型とドーズキャリブレータ
- ウェル型 $\text{NaI(Tl)}$ シンチレーション検出器:検出器に「井戸(ウェル)」のような穴が開いており、そこに試料を入れて測る。
- 主にγ線を測定する装置。β線は検出効率が低い。ガマ(γ)がゲロゲロ鳴い(NaI)ている(Tl)!
- 線源をぐるりと囲んで放射線を逃さずキャッチできるため(幾何学的効率が高い)、微量な試料でも超高感度で測れる。
- 放射線のエネルギーの大きさ(パルス波高)をグラフ化し、測りたい核種の分だけを正確に抜き出して数えることが可能!
- ドーズキャリブレータ(放射能測定装置):患者に投与する直前の強い放射能を測るための電離箱。
- 多くの核種に対応できるように、吸収体(フィルタ)を差し替えられる構造になっている。
ウェル型では、「試料の液量(体積)」を常に一定にして測るのが鉄則!
- 位置:液が増えると水面が上がり、検出器から遠ざかる部分が増えてキャッチしにくくなる。
- 自己吸収:液が多いほど、放射線が自分自身の液に邪魔されて検出器に届かなくなる。
表面汚染の計測:直接法と間接法
- 直接測定法:GM計数管などのサーベイメータを汚染箇所に直接かざして測る。
- 間接測定法(スミア法):ろ紙などで汚染面(通常 $100 \text{ cm}^{2}$ )を拭き取り、そのろ紙を計測器で測る。
- メリット:バックグラウンドが高い場所でも、拭き取ったろ紙を別の静かな場所で測れるため正確。
正確に測るための「補正」の知識
- 後方散乱:試料台で放射線が「散乱(跳ね返り)」して、本来当たらないはずの検出器に入ってしまう現象。
- 試料台の原子番号 ($Z$) が大きいほど、また厚みがあるほど、跳ね返る量が増えてカウントが余計に増える!
- 自己吸収:試料そのものの中で放射線が吸収されて外に出てこない現象。厚い試料ほどこの補正が重要になる。