磁荷と磁気力 🧲
磁石が持っている磁気の量を 磁荷(または磁気量) $ m $ と呼び、単位は ウェーバ $ \mathrm{[Wb]} $ 。
- 磁気の性格
磁石には N極 と S極 の2種類。
- N極 : プラスの性質を持つ磁気(プラスの磁荷)
- S極 : マイナスの性質を持つ磁気(マイナスの磁荷)
- 同じ種類(NとNなど)は反発、違う種類(NとS)は引き合う。
- 磁石の力のルール
- 力の強さ : それぞれの磁荷 $ m_1, m_2 $ (磁気の強さ)が大きいほど、働く磁気力 $ F $ は強くなり、お互いの距離 $ r $ が離れるほど弱くなる!
- 公式 : $ F = \frac{1}{4 \pi \mu} \cdot \frac{m_1 m_2}{r^2} \ \mathrm{[N]} $ (磁荷の積に比例、距離の2乗に反比例)
透磁率 $ \mu $ :単位は $ \mathrm{[H/m]} $その物質が磁気力をどれだけ邪魔するかの数値。
- 透磁率が低い : 磁気力を邪魔する力が小さいので、磁気力は強く届く。
- 透磁率が高い : 磁気力を邪魔する力が大きいので、磁気力は弱くなる。
🌐 磁界と磁力線
-
磁界(じかい) - 縄張り : そこにいる磁荷(親玉)のパワー(磁気力)が及んでいるエリア
- パワーの測り方 : 親玉の強さを測るための「ものさし」として $ +1 \ \mathrm{Wb} $ の磁石(単一のN極)を置いたとき、そいつが受ける力の強さで判定!
- 単位 : $ \mathrm{[A/m]} $ または $ \mathrm{[N/Wb]} $
-
磁力線 💡
縄張りの磁気力(親玉のパワー)の様子を線で書いたもの。- 向き : N極 から出て、 S極 に入る。
- 接線 : 線の向きが、その場所のパワーの向き。
- 角度 : 磁性体の表面には必ず「垂直」に突き刺さる。
- 合流禁止 : 途中で交差したり、枝分かれしたりしない。
- 密度 : 線がギチギチに詰まっているほど、パワーが強力!
- 線の合計数 : 親玉の磁荷 $ m $ が強ければ増える。周りの「磁石の力の邪魔度(透磁率 $ \mu $ )」が小さいほど増える。(線の合計数 $ N = m / \mu $ )
| 項目 | ⚡ 電気(電界) | 🧲 磁気(磁界) |
|---|---|---|
| 主役(親玉) | 電荷 $ Q \ \mathrm{[C]} $ | 磁荷 $ m \ \mathrm{[Wb]} $ |
| 空間の縄張り | 電界 $ E \ \mathrm{[V/m]} $ | 磁界 $ H \ \mathrm{[A/m]} $ |
| 力の邪魔度 | 誘電率 $ \varepsilon \ \mathrm{[F/m]} $ | 透磁率 $ \mu \ \mathrm{[H/m]} $ |
| 力の公式 | $ F = \frac{1}{4\pi\varepsilon} \cdot \frac{Q_1 Q_2}{r^2} $ | $ F = \frac{1}{4\pi\mu} \cdot \frac{m_1 m_2}{r^2} $ |
| 縄張りの公式 | $ E = \frac{1}{4\pi\varepsilon} \cdot \frac{Q}{r^2} $ | $ H = \frac{1}{4\pi\mu} \cdot \frac{m}{r^2} $ |
| 線の本数 | $ N = Q / \varepsilon $ | $ N = m / \mu $ |
| 流れるメイン量 | 電流 $ I \ \mathrm{[A]} $ | 磁束 $ \Phi \ \mathrm{[Wb]} $ |
| 流れにくさ(抵抗) | 電気抵抗 $ R \ \mathrm{[\Omega]} $ | 磁気抵抗 $ R_m \ \mathrm{[A/Wb]} $ |
| 抵抗の公式 | $ R = \frac{l}{\sigma S} $ | $ R_m = \frac{l}{\mu S} $ |
🌐 磁束と磁気抵抗
磁束(じそく) $ \Phi \ \mathrm{[Wb]} $
- 磁力線の束 : 束になって流れる磁力線の合計量(トータル)
磁束密度(じそくみつど) $ B \ \mathrm{[T]} $
- 線の密度 : 単位面積あたりを通り抜ける磁力線の数(磁束の密度)。
- 定義式 : $ B = \frac{\Phi}{S} $
- 磁界との関係 : $ B = \mu H $
- 単位 : テスラ $ \mathrm{[T]} $ (または $ \mathrm{[Wb/m^2]} $ )
磁気抵抗(じきていこう) $ R_m \ \mathrm{[A/Wb]} $ または $ \mathrm{[H^{-1}]} $
- 磁気の通りにくさ : 磁束の通りにくさ(どれだけ通るのに抵抗するか)
- 磁気抵抗の決まり方 : 磁束が通る道の「長さ $ l $ 」に比例し、「断面積 $ S $ 」と「透磁率 $ \mu $ (磁石の力の通しやすさ)」に反比例する。
公式 : $ R_m = \frac{l}{\mu S} $
電流が作る磁界(磁界の発生) 🌀
電流が流れると、その周囲に「磁界の縄張り」が作られる自然界のルール。
- 右ねじの法則(アンペールの法則):親指の方向を電流の向きとすると、残りの4本の指が巻きつく方向に磁界が発生する親切な判定法。
- 電流の形による磁界 $ H $ の公式 :
- ソレノイド内部の磁束密度 : 真空中では $ B = \mu_0 n I $
- $ \mu_0 $ : 真空の透磁率(磁気定数)
- $ n $ : $ 1 \ \mathrm{m} $ あたりの巻数
- $ I $ : 電流
- $ \mathrm{cm^{-1}} $ で与えられた巻数は、$ \mathrm{m^{-1}} $ に換算して代入
- 平行導線間の電流力 : 2本の導線に電流が流れると、導線どうしに力が働く。力の大きさは電流に比例し、導線間の距離に反比例する。
- ビオ・サバールの法則 : 細かく分けた微小な長さの電流が、離れた場所に作る磁界を足し合わせて全体の磁界を求める方程式。電流の方向と観測点の方向が「直角」のときに発生する磁界が最大となる。
磁界から受ける力(電磁力とローレンツ力) ✋
磁界の中を電流(電荷の流れ)が走るとき、磁界から横やりを入れられて「物理的な力」を受ける現象。
- フレミング左手の法則 : 力・磁束密度・電流の3つの向きを決定する便利なルール。
- 親指( $ F $ ) : 力(Force)
- 人差し指( $ B $ ) : 磁界(Flux density)
- 中指( $ I $ ) : 電流(Current)
- マクロの力:電磁力 $ F $ : 磁界の中にある導線全体が受ける力のトータル量。
- ミクロの力:ローレンツ力 $ F $ : 磁界の中をハイスピードで移動する「1粒の電荷」が受ける力(X線管内の電子の軌道やMRI内の挙動を操る力)。
- 公式 : $ F = q v B \sin\theta \ \mathrm{[N]} $
( $ q $ :電荷量、 $ v $ :粒子の移動速度、 $ B $ :磁束密度、 $ \theta $ :速度と磁界のなす角度)
- 公式 : $ F = q v B \sin\theta \ \mathrm{[N]} $
- 加速電圧とローレンツ力 : 電位差 $ V $ で加速された荷電粒子は、$ qV = \frac{1}{2}mv^2 $ より、速度 $ v $ が $ \sqrt{V} $ に比例する。磁界 $ B $ が一定なら $ F = qvB $ より、ローレンツ力も $ \sqrt{V} $ に比例する。
電磁誘導と発電のルール ⚡
- 自己インダクタンス : 電流の変化によって、コイル自身に誘導起電力が生じる性質。
- 基本式 : $ L = \frac{N \Delta \Phi}{\Delta I} $
- 変化率で出る場合 : $ L = \frac{N(\Delta \Phi / \Delta t)}{\Delta I / \Delta t} $
- $ N $ は巻数、$ \Phi $ はコイルを貫く磁束。