人体には、体の状態を一定に保とうとするホメオスタシス(恒常性)という仕組みがある。この調整役を担うのが「ホルモン」である。
⚙️ 内分泌系の基本ルール
- 内分泌と外分泌の違い
- 内分泌:導管を持たず、分泌物(ホルモン)を直接血液中へ放出し、全身の標的細胞へ届ける。
- 外分泌:汗腺や唾液腺のように、導管を通して体表面や消化管内へ放出する。
フィードバック機構(バランス調整)
ホルモン分泌は、主にネガティブフィードバックによって制御されている。あるホルモンの濃度が高まると、その分泌を促す上位の器官へ「もう十分」とブレーキをかける仕組みである。
🧠 主要な内分泌器官とホルモンの作用
| 分泌器官 | ホルモン名 | 主な役割・機能 |
|---|---|---|
| 間脳視床下部 | 放出ホルモン(TRH, CRH等) | 下垂体前葉のホルモン分泌を促進または抑制する |
| ソマトスタチン | 成長ホルモンの分泌を抑制する | |
| 下垂体前葉 | 成長ホルモン (GH) | 身体の成長促進、代謝の亢進、血糖値の上昇 |
| 甲状腺刺激ホルモン (TSH) | 甲状腺ホルモンの分泌を促す | |
| 副腎皮質刺激ホルモン (ACTH) | 副腎皮質ホルモン(特に糖質コルチコイド)の分泌を促す | |
| 性腺刺激ホルモン (FSH, LH) | 精巣・卵巣の発育や性ホルモンの分泌を促す | |
| プロラクチン (PRL) | 乳腺の発育、乳汁の産生・分泌を促す | |
| 下垂体後葉 | バソプレシン (ADH) | 腎臓での水の再吸収を促進し、尿量を減少させる |
| オキシトシン | 子宮平滑筋の収縮、乳汁の射出を促す | |
| 松果体 | メラトニン | 性腺機能の抑制、概日リズム(睡眠)の調節 |
| 甲状腺 | サイロキシン (T4)・トリヨードサイロニン (T3) | 全身の代謝亢進、成長・発達の促進 |
| カルシトニン | 骨へのカルシウム沈着を促し、血中Ca濃度を低下させる | |
| 副甲状腺 | パラトルモン (PTH) | 骨からのCa溶出を促し、血中Ca濃度を上昇させる |
| 副腎皮質 | アルドステロン | 腎臓でのNa⁺の再吸収とK⁺の排泄を促進する |
| コルチゾール | 糖新生(血糖値上昇)、抗炎症作用、ストレス耐性 | |
| 副腎髄質 | アドレナリン・ノルアドレナリン | 心拍数増加、血糖値上昇、血圧上昇(交感神経様作用) |
| 膵臓(島) | インスリン(β細胞) | 組織へのブドウ糖取り込みを促し、血糖値を低下させる |
| グルカゴン(α細胞) | 肝臓でのグリコーゲン分解を促し、血糖値を上昇させる | |
| 腎臓 | エリスロポエチン | 骨髄での赤血球産生を促進する |
| レニン | 血圧調節系(レニン・アンジオテンシン系)を活性化する | |
| 心臓 | 心房性ナトリウム利尿ペプチド (ANP) | 利尿を促し、血圧を低下させる |
| 精巣 | テストステロン | 男性としての二次性徴の発現、精子形成の促進 |
| 卵巣 | エストロゲン(卵胞ホルモン) | 女性としての二次性徴の発現、子宮内膜の増殖 |
| プロゲステロン(黄体ホルモン) | 妊娠の維持、体温の上昇、子宮内膜の分泌期変化 |
🩸 血糖調節と疾患
血糖調節の結論
- 血糖を上げる:グルカゴン、アドレナリン、コルチゾール、成長ホルモンなど。
- 血糖を下げる:インスリンのみ。
「上げる仕組みは重層的であるが、下げる仕組みはインスリン系に依存している」